秋月策人番外（22）栄田音、公の場に姿を現す

賀川礼は眉をひそめた。「凌介？」

「そうだよ、本当に意外だな。あいつ、女運がいいじゃないか。彼女は間違いなくトップクラスの女優で、美人で声も可愛くて、実力もある。ここ数年でたくさん賞を取ってるんだ」

秋月策人はまだぶつぶつと言っていた。「うちの会社は去年、新製品の広告塔として彼女を検討して、バックグラウンドチェックもした。プライベートは絶対にクリーンだった」

「でも意外だよ、賀川凌介のやつ、普段は棒で叩いても屁一つ出ないのに、どうやって女優を口説いたんだ？君たち賀川家は、みんな黙々と大仕事をやってのける人たちだな」

……

盛山文音は夫が呆然としているのを見て、服を整えながら尋ねた。「何かあったの？凌介の名前が聞こえたような気がしたけど」

「少し片付けておいて、今夜は遅くまで起きることになりそうだ」

「え？」

盛山文音は意味が分からなかった。

賀川大爺様の固定電話が鳴り止まなくなると、賀川家全体が大騒ぎになった。

賀川凌介と女優の噂が完全に検索ランキングのトップに躍り出た。

さらに、2、3年前に帝都圏を騒がせたあのジュエリー展で、賀川凌介がその女優のボディーガードをしていて、事件が起きた後の混乱の中で彼女を護衛して退場させたことまで掘り起こされた。

さらに好事家たちは、彼女が投稿していた小さなハムスターの写真が賀川凌介のペットだということまで暴いた。

様々な細部が次々と明らかにされた。

彼女のファンの間では、以前から女優とボディーガードのマイナーカップリングを妄想する人たちがいて、二人の親密な写真をたくさん保存していたからだ。今やそれらはみんなの萌えの糧となっていた。

その夜、検索ランキングでは十数個の関連ワードが爆発的に広がった。

なぜなら、その夜、この女優がすぐに声明を出したからだ。皆さんの関心に感謝するが、公共のリソースを占有したくないので、この声明は一度だけ：

私は確かに恋をしています。彼氏とはとても仲が良く、普通に交際しています。皆さんには私のプライベートにあまり関心を持たず、私たちにプライバシーの余地を与えてほしいと思います。

結果は……

サーバーが何度もダウンした！

なぜなら賀川凌介の身分が暴かれたからだ。

それに伴い、賀川礼と盛山文音の過去の出来事も再び世間に掘り起こされた。