周りの人は二人が組んだのを見て、思わず密かに首を振った。
大会開始以来、ずっとトラブルを起こしている選手と、普段の練習ではキングだが、舞台に上がるとブロンズになってしまう選手、どう見ても「お似合い」だった。
「これで、少なくとも最下位は免れそうだな」ある男性選手が自信満々に言った。
彼の隣にいたチームメイトが言った。「でも石ちゃんが脱落したのは残念だったね……」
村上彰は時枝秋の方を見た。正直に言えば、時枝秋のあの瞳には、星を摘み月を掬うような輝きがあり、無限の可能性を秘めていた。人を見る時、まるでその人の骨の髄まで見透かすかのように、純粋でありながら妖艶だった。
もし昇級がかかっているような重大な状況でなければ、村上彰は時枝秋ともっと関わりを持ちたいと思っていた。
しかし男子たるもの事業を重んじるべし……村上彰は少しの色気に惑わされて自分を台無しにするつもりはなかった。
彼は噂話をしている人々に言った。「時間を大切にしろよ、他人の噂なんかするな」
「噂じゃなくて、事実を言っているだけだよ」カメラの死角で誰かが一言言った。
堀口楓は震えが止まらなかった。
「怖がらないで」時枝秋は彼女の手を取った。
堀口楓は恐る恐る時枝秋を見上げ、自分の心を全て彼女に預けられると感じた。
時枝秋は彼女の眼差しを見て苦笑した。この言葉は、前世で堀口楓が自分に言ったものだった。自分はただそのまま彼女に返しただけだ。
グループ分けが終わると、カメラは全て引き上げた。
木村雨音は真っ直ぐに時枝秋の元へ走ってきた。「時枝さん、この二日間はどうだった?」
あの夜『失せろ』を歌い終えた後、木村雨音は事情を誇張して藤原修に伝えていた。
彼は返信をしなかったが、木村雨音は藤原修が全て見ていることを知っていた。
浅湾別荘は、きっと大混乱に陥っているはずだ。
ただこの二日間、木村雨音は浅湾別荘に入れず、時枝秋も彼女のメッセージに返信しなかったため、何も聞き出せなかった。今まで我慢するしかなかった。
さらに彼女を悩ませたのは、藤原修に送ったメッセージが全て赤い感嘆符付きになっていたことだ!
藤原修は彼女をブロックしたのだ!
このことに気付いた木村雨音は本当に頭が狂いそうだったが、今はどうすることもできず、じっくり計画を立ててから行動するしかなかった。