時枝秋が現れる前は、藤原修が女性を好きになるとは誰も思っていなかった。木村裕貴でさえも。
もちろん、彼のような性格では、男性を好きになることもあり得なかった。
そして今…藤原修は非常に独占的な態度と姿勢で、目に見えない威圧感で時枝秋を自分の領域内に囲い込み、木村裕貴は時枝秋への視線を引き下げざるを得なかった。
時枝秋は小声で藤原修と話し、その瞳には輝く星のような光があった。
木村裕貴は鼻を鳴らし、心の中で祈った。藤原様が今夜、彼女のすべての条件を受け入れてくれることを。
浅湾別荘に着くと、木村裕貴は藤原修と時枝秋と一緒に車を降り、彼らと共に中に入った。
ホールに入ると、普段から鋭い藤原修はようやく木村裕貴が付いてきたことに気付いた。
「用件は?」藤原修が尋ねた。