院長は喜びに満ちて言った。「赤司先生はどこですか?早く呼んできてください!」
時枝秋はすでに端の方に移動していた。
別に他の理由ではなく、藤原修に見透かされたような気がして、少し怖くなったのだ。
藤原千華の回復には時間だけでなく、心の安定も必要だった。この時点で正体がばれるのは避けたかった。
彼女がほんの二分も休む間もなく、リチャードがやってきた。
世界最高の外科医と称賛されるこの医師は、時枝秋を見た瞬間、目を輝かせた。嫉妬の気配は微塵もなく、むしろ羨望と尊敬の念に満ちていた。
「赤司先生!」彼は緊張のあまり、英語でたどたどしく話し始めた。「一緒に意見交換させていただけませんか?」
時枝秋が答える前に、彼はポケットから素早く長い棒を取り出した。
時枝秋が反応する間もなく、彼は素早く自撮り棒をセットした。「それと、写真を撮ってもいいですか?サインもいただけますか?」