第73章 芝蘭玉樹

小林凌は深く同意して「じゃあ、君に任せるよ」と言った。

「今回はしっかり手配しておきます」と横澤蕾は答えた。

トップスターの立場は、名声も高く収入も良いが、高い位置にいるほど寒さも厳しく、少しでも油断すれば転落しかねない。

今や新世代のアイドルが多すぎて、絶えず小林凌の地位に挑戦する者がいて、横澤蕾はマネージャーとしても楽ではなかった。

彼女が手配に向かっている時、すぐに時枝雪穂からの電話を受けた。

「蕾さん、小林お兄さんと最近何かイベントがあるって聞きましたけど、本当ですか?」時枝雪穂の話し方は優しく柔らかで、人の心を和ませた。

彼女と小林凌のことについて、横澤蕾は当然よく知っていたので、笑いながら自分の計画を説明した。

「そうよ、今回のオークションは小林凌の個人イメージと価値の向上に大きな効果があるわ」

時枝雪穂は言った:「じゃあ、私も会場でオークションに参加させていただきます。その時にその蘭を落札して小林お兄さんにプレゼントしたいんです」

小林凌の婚約者であり、時枝家のお嬢様として、彼女のこの要望は理にかなっていた。

横澤蕾は少し考えてから承諾した:「いいわよ、その時に来てください」

時枝雪穂は分別のある様子で言った:「マスクをしていきますから、小林お兄さんに迷惑はかけません」

「分かってます、時枝さんはいつも小林凌のために進んで尽くしてくださいますものね」横澤蕾はお世辞を言った。時枝秋に比べて、この本物のお嬢様は本当に手がかからなかった。

オークションに参加するため、横澤蕾は早くからステマ記事を仕込んでいた。花屋が蘭をオークションにかけることを皆に知らせ、蘭の九枚組写真の中に、さりげなく小林凌の写真を二枚混ぜ込んでいた。

小林凌のファンたちは歓喜に沸き、上機嫌で画面中に「芝蘭玉樹」の言葉を連投し、まるでこの言葉がすでに小林凌専用のものになったかのようだった。

話題性は十分に作り上げられていた。

……

オークション当日、会場は非常に賑わっていた。

時枝秋が当日姿を現した時は、とても控えめだった。白いシャツに黒いパンツという最もシンプルな装いで、マスクと帽子で顔をしっかりと隠していた。

彼女は入場後、片隅の席を選んで座った。

そしてスマートフォンを見ながら、オークションの開始を静かに待っていた。