第94章 あなたは優しすぎる

小林凌は微笑みを浮かべたまま、時枝秋が歌い継げるとは思っていないようだった。

この夜、会場に残って観戦していた時枝雪穂は、姿勢を正したまま、密かに首を振った。「どうやら、時枝秋は去ることになりそうね。この葉山先生は、助けに来たのか邪魔をしに来たのか、分からないわ」

続いて、同じく衝撃的な歌声が響き渡った。「私は太陽神のように

永遠に消えない炎を見守り続けよう

私はプロメテウスのように

あなたの大切な理想を守るために」

この部分の歌い方は、葉山彩未とは異なっていた。

しかし唯一同じだったのは、同様の強い爆発力と、会場の支配力が依然として強烈で驚くべきものだったことだ。

歌を聴いていた人々は皆、彼女の声に引き寄せられ、舞台上の彼女に釘付けになっていた。

彼女が一節歌い終わると、皆はようやく気付いた。これは石ちゃんの声だったのだと!