時枝秋は深くうなずいた。彼女は確かにこの庭が気に入っていた。特にこの土壌が非常に良かった。
「じゃあ、今から戻ってヤオランを持ってくるわ」
そして、彼女が転生してから育てた他の植物も、特殊な土壌が見つけにくかったため、すべて鉢植えにしており、そう多くは育てていなかった。
「すでに全部持ってくるように指示しておいた」藤原修は一箇所を指さした。
そこでは、園田一帆が数人の作業員と一緒に時枝秋の鉢植えの処理をしていた。
「気をつけて!絶対に傷つけないでください!少しの損傷も許されません!」園田一帆は鍬を持ちながら、作業員たちに鉢植えの運搬を指示していた。
作業員と言っても、彼らは半ば植物学の専門家と言えるほどで、その中の一人が不思議そうに尋ねた。「園田さん、私たちが植えるように言われたこれらの花は、先ほど掘り出したものの端数にも及ばない価値ですよ!なんという無駄遣いでしょう!」
彼らは掘り出された高価な樹木や花々を見ながら、舌を打ち続けた。
掘り出された植物を全部合わせれば、このような別荘をもう一軒買えるほどだった!
なのに園田秘書が彼らに植えさせているのは、これは一体何なのか?
花茎が切られて何の蘭かも分からない蘭の株、見た目の悪い花(草?)が数株、名前すら分からないものばかり。
どこかの田舎から掘ってきたのか、園田秘書が宝物のように運んできたものだった。
「とにかく言われた通りにしっかりやってくれればいい」園田一帆は念を押した。
彼もこれらが何なのか分からなかったが、時枝秋のものだということだけは確かだった。
藤原様が彼女を甘やかすのなら、これらの高価な植物を掘り出すどころか、別荘を更地にすることだってありえないことではない!
時枝秋は彼らが熱心に作業しているのを見て、服の中から種を取り出して言った。「お手数ですが、これも植えていただけませんか」
園田一帆がそれを受け取ると、先ほど話していた人が見て、これはミントの種ではないかと気づいた。
外では鉢付きのミントが5元で、たくさん買えば割引もあるのに。
お金持ちの生活は、本当に退屈で味気ないものだ。
花々をここに植えたことで、時枝秋は藤原修と一緒にここに引っ越してきた。
ちょうど浅湾別荘では、二人の間で不愉快な出来事がいくつかあったので、環境を変えるのは必要なことだった。