第120章 必ず逆転できる

「明日だ。今夜から準備を始めよう。」

木村雨音は頷き、心の中に熱意が湧き上がった。「はい。お兄さん、必ず宣伝してくださいね。」

彼女が言及したのは、自分の名前で書いた曲のことだった。

今、亮麗の広告が失敗に終わり、彼女は小林凌の新アルバムに賭けるしかなかった。

必ず這い上がれる！彼女は拳を握りしめた！

小林凌はすぐに承諾した。木村雨音との今後の協力のために、今回は彼女を粗末に扱うつもりはなかった。

……

木村雨音にこれほどの出来事が起きていたのに、時枝秋は全く気にも留めていなかった。

木村裕貴が彼女に会いに来たとき、彼女は裏庭で花や草の手入れをしていた。

彼女は白いシャツを着て、体にフィットしたジーンズを履き、すらりとした脚は長靴にぴったりと包まれていた。滝のような長い髪が垂れ下がり、午後の陽光の中で優しい色合いに染まっていた。

髪の隙間から覗く尖った顎は、玉のような輝きを放ち、陽光よりも明るく輝いていた。

木村裕貴は少し見とれてしまい、やっと藤原修が彼女をこれほど可愛がる理由が少し理解できた。

亮麗の一件の余波はまだ収まらず、木村雨音は深い傷を負っていた。

一方、時枝秋は、これらすべてを絶妙なタイミングで避けることができた。

もし当時、時枝秋が亮麗の広告を撮影していたら、木村裕貴は、これほど大きな事態に無傷で済んだという確信は持てなかった。

目の前の少女に、木村裕貴は一層探究心を抱くようになった。

「木村さん」時枝秋は彼の存在を感じ取り、立ち上がって声をかけた。

彼女の顎と唇の傷跡はまだはっきりと残っており、玉のような肌の美しさを損なっていた。

その傷跡を除けば、木村裕貴が真剣に観察したところ、彼女の顔立ちと五官の構成は確かに一流と言えるものだった。

木村裕貴は軽く咳払いをした。「今回の進級の後、すぐに六人から三人を選ぶ試合だ。曲は、もう出来上がっているのか？」

最後の質問は、少し躊躇いがちだった。

以前、時枝秋が言っていたことを思い出した。彼女の曲はすべて藤原修がお金を出して買ったものだと。

だからここまでの道のり、時枝秋のいくつかの曲に感動させられたものの、彼はそれほど気にかけていなかった。

「ほぼ完成です」時枝秋は答えた。

「ふむ、先に見せてもらえないか？」木村裕貴は尋ねた。