第121章 私が書いたの

「この二回だけにしましょう」木村裕貴は木村雨音に作詞を手伝ってもらうのがカンニング行為だと分かっていたが、以前の時枝秋の曲も買ったものではなかったか?

彼にできるのは、時枝秋のこれらの嘘を何とかフォローすることだけだった。

慎重に言葉を選びながら彼は言った。「コンテストが終わったら、藤原さんと相談して、あなたをプロの音楽学校に送り込もうと思います。時枝さん、あなたの声質、音程はとても素晴らしい。時間をかければ、必ずトップシンガーになれるでしょう。作曲能力も、これから少しずつ学んでいけばいいのです」

彼の言葉は、とても誠意のこもったものだった。

亮麗の一件があってから、彼の時枝秋に対する見方は、さらに一層変化した。

彼は時枝秋と真剣に協力し、彼女を本当の意味でデビューさせ、彼女の輝きをより多くの人々に見てもらおうと決意した。