第127章 何を言った?

横澤蕾と小林凌は二人とも驚いた。

会場全体も笑い声から静寂へと変わった。

皆が互いに顔を見合わせた。このタイミングで、おめでとうと言わないなんて、一体どういうことだろう?

横澤蕾は彼の冷たい態度に気づき、苦笑いしながら言った。「夏目先輩のおっしゃりたいことは?」

「私の弁護士から話をさせましょう」夏目休はコーラの缶をバリッと潰し、その中身が小林凌の服に飛び散った。

小林凌は驚き、服の汚れも気にせず、夏目休の後ろにいる人々が皆厳しい表情で正装していることに気がついた。

彼が連れてきたのは他でもない、弁護士チーム全員だった!

小林凌は表情を変えて木村雨音を見た。

木村雨音は落ち着いて彼を見返した。彼女の曲は全て時枝秋から得たものだ。時枝秋が何も言っていない以上、夏目休が弁護士を連れてきたところで何ができるというのか?

彼女は確信していた。夏目休がやってきたのは、きっとこの件とは関係ないはずだと!

先頭の弁護士は身分を明かしてから、公式な口調で話し始めた。「小林さん、横澤さん、現在小林さんがリリースした『歌』というアルバムの中で、先行公開された5曲は、私どもの依頼人である夏目休さんが作曲した5曲とほぼ一致しています。現在、我々は貴方がたに権利侵害行為の即時停止、アルバムの配信停止、既にリリースされた5曲の削除、そして依頼人への謝罪と各種賠償を要求します!」

弁護士の言葉が終わると、小林凌は驚きのあまり、いつもの落ち着いた態度を失い、声を震わせて言った。「何だって?」

「権利侵害行為を直ちに停止するよう要求します」弁護士は厳かな口調で、一字一句はっきりと言った。

会場は騒然となった。

皆の視線が小林凌に集中した。

「つまり、これは盗作?」

「まさか、そんなことあり得ない?」

人々は様々な議論を交わし、視線は小林凌から夏目休へと移っていった。

一方は歌唱力も作曲能力も優れ、若くして名を馳せ、毎年多くの作品を生み出すシンガーソングライター。

もう一方はアイドル出身で、トップアイドルの座を占め、常に公衆の目に触れているアイドル歌手。

どちらが本当のことを言っているのか、もはや言うまでもないようだった。

夏目休が証拠を出す前から、皆の心は既に彼の方に傾いていた。

だって、彼は夏目休なのだから!