以前彼は時枝秋のことを気にかけていなかったので、当然彼女が毎日何をしているのかわからなかった。
この期間、彼は時枝秋が歌詞を推敲し、メロディーを試し歌いする様子を目の当たりにし、一つ一つの歌詞とメロディーが時枝秋のペンから生まれる様子を見て、心の中の感動は言葉では言い表せないほどで、特別な満足感を覚えた。
時枝秋は作詞作業に疲れ、手を伸ばして水を飲もうとした。
手を伸ばした瞬間、木村裕貴がコップを差し出した。
「ありがとう」と時枝秋は頷きながら言った。
木村裕貴は満足げに、彼女が飲み終わるのを待って、すぐにお湯を注ぎ足してコップを満たした。
実は、これらの仕事は完全にアシスタントやスタッフにやらせることができた。
しかし、今の彼にとってこれらの行動は、まるで本能のように自然なものとなっていた。