第155章 優勝者だけに会う

彼は立ち上がって重岡尚樹に別れを告げ、お湯を足した水の入ったコップを時枝秋の側に置いた。

重岡尚樹は眉間を摘まみ、時枝秋の方向を一瞥してから視線を戻し、文岩薫里と斎藤恒介の面会時間をそれぞれ予約するよう指示した。

このような大規模な番組を開催した以上、祖父とダイヤモンドミュージックのために人材を確保しなければならないのは当然だった。

……

コンテストがまだ完全に終わっていない段階で、ダイヤモンドミュージックは文岩薫里と契約を結び、さらに高額で斎藤恒介を元の芸能事務所から引き抜いた。これは間違いなく投下された一つの重大なニュースだった。

まるでこの二人がどれほど期待されているかを示すシグナルのようだった。

ダイヤモンドミュージックは二人にそれぞれベテランのマネージャーを直接配属した。

次の保留セクションは三人の容姿を推測することだった。

番組制作側は三人のデフォルメキャラクターイラストシリーズを発表し、ファンたちの好奇心を満たした。

三人の中で、文岩薫里と斎藤恒介のデフォルメイラストは数も多く精巧で、可愛らしいものからクールなもの、エレガントなもの、かっこいいものまで、様々なバージョンが大量に制作され、ファンたちを魅了し続けた。

時枝秋のものだけが最も少なかった。

主に彼女の顔に傷があるため、番組制作側も彼女のデフォルメイラストをどのように描くべきか分からず、傷を強調しすぎると彼女に対して失礼になるのではないかと懸念し、かといって傷を描かないと実物と異なってファンに説明がつかないと心配した。

そのため、時枝秋の話題性は他の二人と比べてかなり劣っていた。

番組制作側もハミルトン音楽学院の入学資格の準備を急いでいた。

その日、ハミルトン音楽学院の老教授であるペンスが番組制作側に特別に招かれて現場に来ていた。

安藤誠と木村永司は熱心に彼を迎え、オフィスへと案内した。

スタッフたちは思わず安藤誠のオフィスの方向を見つめた。

ハミルトン音楽学院は世界最高峰の音楽学院であり、ペンスも業界で最も権威のある老教授の一人だった。番組制作側で働くスタッフたちは、専門家出身でなくても、日々の接触を通じて、この二つの名前が何を意味するのかを知っていた。

それは世界の殿堂級の二つの名前だった。

安藤誠とペンスが入室してまもなく、時枝秋がやってきた。