第157章 本当に残念に感じる

時枝秋は簡単な会話を交わしただけで、ペンス教授にはまだ本題があることを知り、時間を取らせないように話題を終わらせようとした。

しかし、ペンス教授は全く足りないと感じ、「では明日会えませんか?」と言った。

「はい」時枝秋は同意した。

「時枝さん、必ず時間を取っておいてください!」とペンス教授は言った。

時枝秋から明確な返事を得て、やっと笑顔を見せ、名残惜しそうに安藤誠の方へ歩いていった。

安藤誠は笑いながら言った。「ペンス教授、あの方も私たちの出場者の一人ですが、重岡家のダイヤモンドミュージックとは契約していませんし、まだ高校も卒業していないので……」

ペンス教授は「本当に残念です!」と言った。

「そうですね、残念ですね、ハハハ」安藤誠は彼が石ちゃんがまだ高校を卒業していないことを残念がっているのだと思い、相づちを打った。

……

翌日、ペンス教授と時枝秋は約束通り会った。

2、3時間もあれば十分だと思っていたが、結局6時間も話し込み、深夜になってしまった。

時枝秋は時間を見計らって、ようやく席を立ち、別れを告げた。

やはり、家では待ちわびている人がいるのだから。

この人生をやり直して、仕事も大切だが、藤原修も同じように大切なのだ。

……

正式な競技が始まる頃には、文岩薫里はすでにダイヤモンドミュージックとの契約やペンス教授との面会などで、前例のない名誉を得ていた。

斎藤恒介も契約の件で、かなりの注目を集めていた。

時枝秋だけが、平凡な注目度だった。

競技当日の夜、大会の進行手順が発表された。

司会者は宣言した。「今夜、会場に来ていただいた観客の皆様は5000人にも及び、これは中小規模のコンサートに匹敵します。会場の各ファンの皆様には、10票の投票権が与えられます。」

会場の観客は応募したファンの中から無作為に選ばれた。

そのため、どの出場者を支持する人もいて、各出場者がどれだけの支持者を持っているのか明確にはわからなかった。

「そしてパソコンやテレビの前の視聴者の皆様には、無制限の投票権が与えられます。投票権に違いを設けた理由は、会場での観戦と画面越しの観戦では、得られる感動が全く同じではないからです。」

「さらに、4人の審査員の皆様にも、それぞれ20票の投票権が与えられます。」

これについて誰も異議を唱えなかった。