感じないものは感じない、無理強いはできない……文岩薫里の歌を聴きながら、夏目休はその心を揺さぶられるような感動を覚えることができず、すぐにペンを置いた。
弾幕では、文岩薫里のファンたちがすでに絶賛の声を上げていた。
「ローズちゃん、本当に素晴らしいわ!」
「頑張れ、頑張れ!一緒に頑張ろう!」
「優勝は間違いなしだよ!」
「ローズちゃんは絶対一番可愛いわ。彼女のSDキャラクター見た?実物の輪郭を元に描いたみたいよ」
会場では、文岩薫里のファンも少なくなかった。
しかし、時枝秋のファンも負けてはいなかった。これまでの出来事を経て、彼女のファンは彼女に関するすべてを冷静に受け入れることを学んでいた。
彼女の顎の傷跡についても、もう誰も嫌がることはなかった。
むしろ、自発的に彼女のSDキャラクターを描く人も現れ、そこでは傷跡は目立つものの、明るい眼差しで皆を照らしていた。
コンテストの進行は速やかに終わり、三人の出場者は規則通りにすべての曲を歌い終えた。
今夜の皆のパフォーマンスは自然で正常で、それぞれの創作も普段通りの特徴を保っていた。
司会者が登場して言った:「現在、投票数はほぼ確定しました!」
客席では、観客たちが「石ちゃん」「ローズちゃん」「夢ちゃん」のうちわを振り、その数はほぼ同じくらいだった。
誰も絶対的な優位を得ることは難しいことが明らかだった。
安藤誠が最も期待を寄せていた文岩薫里でさえ、この段階まで来ると、もはや完全な独走状態ではなくなっていた。
司会者は続けて言った:「審査員の投票がまだ集計されていない以外は、他の投票は確定しました。では、場外と会場内の投票を終了します!」
投票数がカチッと音を立てて、ある数字で止まった。
手順通り、三人が順番に前に出て自分の得票数を明らかにしていく。一の位、十の位から最後の桁まで。
この回の投票数は明らかに以前より多く、他の競争者がいなくなったことで票が分散しなくなったためだ。
三人の実力は誰の目にも明らかだった。
優勝の夜の視聴率は他の回の比ではなかった。
三人の最後の桁は、すべて千万の位に達していた!
斎藤恒介の票数が最初に明かされ、司会者は喜々として発表した:「夢ちゃんの得票数は2896万4150票です!おめでとうございます!」