第165章 最も不公平

傷跡もなく、醜さもなく、見苦しさもない。

ステージの大スクリーンには、時枝秋の以前の試合でのステージパフォーマンスが映し出されていた。

これは各出場者に用意されている振り返りVCRだ。

今、みんなが時枝秋の試合映像を見直してみると、アップテンポの曲を歌う時の彼女の動きがこんなにもかっこよく、美しく、凛々しく、バラードを歌う時はこんなにも優美で情感豊かだったことに気づいた。

今の彼女の顔と共に全ての内容を振り返ってみると、彼女が本当に絶世の美女だということがわかる。

顔で勝負せずにここまで上り詰めた彼女が、もしこの番組で最初から素顔を見せていたら、あれほどの非難や中傷を受ける必要があっただろうか?

彼女の道のりはこれほど険しいものになっていただろうか?

今になってみんな気づいた、彼女こそが最も不公平な扱いを受けていた一人だったということに!