傷跡もなく、醜さもなく、見苦しさもない。
ステージの大スクリーンには、時枝秋の以前の試合でのステージパフォーマンスが映し出されていた。
これは各出場者に用意されている振り返りVCRだ。
今、みんなが時枝秋の試合映像を見直してみると、アップテンポの曲を歌う時の彼女の動きがこんなにもかっこよく、美しく、凛々しく、バラードを歌う時はこんなにも優美で情感豊かだったことに気づいた。
今の彼女の顔と共に全ての内容を振り返ってみると、彼女が本当に絶世の美女だということがわかる。
顔で勝負せずにここまで上り詰めた彼女が、もしこの番組で最初から素顔を見せていたら、あれほどの非難や中傷を受ける必要があっただろうか?
彼女の道のりはこれほど険しいものになっていただろうか?
今になってみんな気づいた、彼女こそが最も不公平な扱いを受けていた一人だったということに!
木村雨音が先駆者だと思っていた。
文岩薫里が頂点だと思っていた。
石田亮二がかっこいい方だと思っていた。
時枝秋を見て初めて、人外に人あり、天外に天ありという言葉の意味を知った。
時枝秋の美しさは性別を超越しており、単純に「美しい」という言葉では表現できない。
「あああああああ!」
「おおおおおおお!」
「わあああああ!」
画面を埋め尽くす人々は、興奮を言葉で表現できずにいた。
ただ声で心の中の感情を発散するしかなかった。
「もう一度投票できませんか?私が間違っていました、本当に間違っていました!」
「これは何という絶世の妖精ちゃん?妖精ちゃん、天界からお疲れ様でした!」
「自分の目を疑ってしまう!これは本当に石ちゃんなの?」
「彼女の名前は時枝秋!秋は玉石、宝石、高貴さ、価値連城を表す、石ちゃんという名前は本当に彼女には相応しくなかった!」
「番組スタッフはなんてひどい名前をつけたの!私たちの妖精ちゃんはこんなに可愛いのに!」
「今こそ番組が顔ではなく才能だけで判断していたことを信じました。もし顔で判断していたら、時枝秋は間違いなくスーパースーパー1位だったはず!」
「上の人は間違ってる、才能でも、私たちの石ちゃんはスーパースーパー1位よ!」
アンチファンたちは目を見開いて呆然としていた。
それぞれのアンチファンは非常に驚いていた。