第174章 これが報いだろう

木村雨音は突然大笑いし始めた。「時枝秋、藤原修はもう新しい彼女がいるのよ!私はさっき自分の目で見たわ!私を陥れたところで何になるの?私が藤原修の前であなたを陥れたとき、あなたは馬鹿みたいに私の罠にかかって、彼と別れたじゃない!あはははは、あなたがどんなに凄くても、結局は同じように惨めよ!」

彼女は先ほど見かけた、藤原修が腕を組んでいた女の子のことを思い出した。二人はとても仲が良さそうに見えた。時枝秋にはもう二度とチャンスはないはずだ!

もう二度と、ないはずだ。

時枝秋はマスクを着け、彼らの動きを見ながら、少しも動揺を見せなかった。

真相を知らない木村雨音に説明する気も起きなかった。あの女は、彼女の今の生活や状況を知る価値もない。

彼女は、木村雨音が死んだ犬のように引きずられていく様子を、その姿が見えなくなるまで見つめていた。

見慣れた視線を感じ、時枝秋はその方向を見やると、藤原修がタピオカミルクティーを二つ持って、遠くからこちらに向かって歩いてきていた。

前世で時枝秋がゴールデンエンタメの泥沼に陥っていたとき、木村雨音が様子を見に来た時も、藤原修は同じように大股で歩いてきて、木村雨音を追い払い、嵐の中で揺れる時枝秋に一筋の温もりを与えてくれた。

ただ、あの時の彼女は愚かすぎた。そんな状況でさえ、彼を遠ざけようとしていた。

時枝秋は今になって思う。あの時、彼女の藤原修に対する気持ちは、もはや完全な拒絶ではなく、落ちぶれた時の自尊心が、自分が何度も拒否してきた藤原修を受け入れられなくさせていたのだろう。

幸いなことに、今世では、見逃すことはない。

彼女は笑顔を浮かべ、藤原修の方へ歩み寄り、タピオカミルクティーの一つを受け取った。花のような笑みを浮かべながら、彼と話しつつ、遠くへ歩いていった。

……

「國民シンガーソングライター」終了後、続けて数回のコンサートが企画され、上位15位までの出場者全員が招待された。木村雨音以外は。

もちろん、このようなコンサートでは、持ち時間の配分は上位3名を最大限考慮したものとなる。

特に目玉は文岩薫里と時枝秋にあった。

このコンサートで、時枝秋は最後から二番目の出演だったが、トリのような待遇を受けた。

会場全体が歓声に包まれ、全員が彼女の名前を叫び、雰囲気は最高潮に達した。