第185章 本当のアイドル

時枝秋は彼女の共感の気持ちを察し、微笑んで頷いた。

彼女が教室に戻ると、元々静かだった教室では、みんなが何かを小声で議論しており、議論は次第に盛り上がっていった。

「週末の学校記念日に、時枝雪穂先輩も来るって知ってる?」

「本当?時枝先輩も来るの?会ってみたいな!高校三年生の私たちに参加する時間があるかどうか分からないけど。」

「絶対に一緒に参加できるはずよ。だって学校の五十周年記念だもの。こんな重要な日に、私たちが参加できないわけないでしょう?」

「時枝先輩に会いたい+1、だって当時の学業優秀者で、その年の市の首席合格者だったもの!六百八十三点も取ったのよ!」

「そう、一目でも見られたらいいな。これは試験必勝のお守りよりも効果があるわ!」

時枝秋はそこで、もうすぐ学校記念日だということを思い出した。

時枝雪穂は第二中学校では確かに伝説的な存在で、成績優秀で、様々な趣味も均等に発展させており、当時の大学入試の成績が発表されると、さらに数年間にわたって人々の崇拝の的となった。

高校三年一組のような優等生クラスでさえ、全員が優れた学力を持っているにもかかわらず、時枝雪穂の話題になると、依然として興味深く語り合い、崇拝の念に満ちていた。

時枝家は名門の中でも新興勢力で、定戸市で名の通る家柄であり、時枝雪穂の第二中学校での地位は、文岩薫里が「國民シンガーソングライター」での地位に匹敵するほどだった。

「時枝秋、君は時枝雪穂を知ってるの?」ある男子生徒が小声で尋ねた。

すぐに別の男子生徒が彼の口を押さえた。「時枝秋に聞くのはやめろよ。時枝秋は時枝雪穂と取り違えられた子供だって噂を聞いてないのか?そんなこと聞いたら、時枝秋はどう答えればいいんだ?」

最初に質問した男子生徒は首をすくめ、確かにそれ以上質問しなかった。

実際、時枝秋は既に偽のお嬢様という身分を気にしなくなっていた。

むしろ浜家秀実と時枝雪穂が非常に気にしており、以前は時枝秋に対して外部の人の前で時枝家の人間だと言及することを厳しく禁じていたため、次第に学校の人々は、時枝秋が時枝雪穂のいる時枝家の出身だということを全く知らなくなっていた。

だからこそ、人々が好奇心を持って尋ねてくるのだった。