「時枝秋、教室を見に行きましょう!」季山梨香は時枝秋を連れて先に立って去った。
篠崎正秀は後悔の念に駆られた。今になって、自分が何を失ったのかを理解した。
いや、彼が失ったのはそれだけではない。時枝秋という落ちこぼれを嫌って、遠慮なく罵倒したことで、自分の醜聞が公になってしまった。
すぐに、妻から問い詰められ、学校でも、このような道徳に反する行為の責任を追及されることになるだろう。
さらに、木村裕貴が時枝秋の代わりに名誉毀損で訴えると言っているのだ!
……
時枝秋が高校三年生に進級したことは、旋風のように急速に広まった。
浜家秀実はニュースを見て、首を振り続けた。「六田学長は本当に老いぼれてしまったわ!」
こんなことまでやるなんて!
時枝雪穂は言った。「時枝秋はきっと早く大学に入りたいんでしょう。芸能界での活動に支障が出ないように」
「だから芸能界って何を育てているのよ。みんな近道ばかり探して!まじめに努力する人が一人もいないなんて!」
「お母さん、小林お兄さんはいい人じゃない?芸能界の人が全部そんなわけじゃないでしょう。一概に決めつけないで」
浜家秀実は苦笑いを浮かべた。「まあ、あなたったら。いつも小林凌のことばかり擁護して」
ツイッターでもこの件はすぐに話題の中心となった。
アンチファンたちが殺到し、第二中学校、六田学長、時枝秋を非難した。
「やっぱり予想通りだ。時枝秋は早く大学に入って、高校に縛られたくないから、学校側まで買収したんだ!」
「本当にひどい学校だ!第一中学と比べたら、雲泥の差だよ!」
「芸能人は特権が多すぎる。関係部署はしっかり調査すべきだ!」
「落ちこぼれが飛び級で高三に上がれるなんて、手心を加えていないはずがない!」
「時枝秋がAクラスに入ったって聞いたけど、第二中学校も終わりだな!」
「第一中学の方がちゃんとしてる。少なくとも文岩薫里はこんな騒動を起こしたことないもの」
木村裕貴は今やこういう人たちを甘やかすつもりはなく、すぐさま時枝秋の試験の監視カメラ映像と答案用紙を公開した。
映像の中で、彼女は筆を走らせ、次々と問題を解いていく。
700点を超える彼女の点数を見て、アンチファンたちは衝撃を受け、即座に不可能だ、信じられない、あり得ないと主張した。