第232章 家族総震撼

「楽曲の収益は税引き後、あなたの口座に振り込まれました」これは最近、木村裕貴が時枝秋によく言う言葉だった。

現在の音楽市場全体は不景気だが、音楽を聴きたい人はまだまだ多い。共感を呼ぶ曲を書けば、みんな少しのお金を払うことを厭わない。

以前のように、CDやカセットテープを制作して販売するしかなかった時代と比べて、今の環境にも良い点がある。

例えば、曲を書いて録音さえすれば、すぐに販売できる。価格も非常に安く、一曲数百円程度なので、誰でも手が届く。

歌手も十数曲集めてアルバムを出す必要がない。

これからの楽曲リリースは、時枝秋のインスピレーション次第だ。

彼女が学校に戻ると、季山梨香が彼女を訪ねてきた。

「時枝さん、三つのコンテストにエントリーしておいたわ」

「コンテスト?」