時枝秋はそれを受け取り、魅惑的な笑みを浮かべて「ありがとう」と言った。
葉山暁子は彼女の突然の美しさに驚き、言葉を詰まらせながら言った。「時枝さん、笑顔が、と、とても綺麗です。いえ、笑ってない時も綺麗ですけど、笑うと...まるで天女のようです」
「そう?」時枝秋は実は分かっていた。
だからこそ彼女は笑うことを控えめにしていた。
今では、他人に笑顔を見せることさえも惜しんでいた。
彼女は何気なく葉山暁子の間違い集を開いた。数学の天才である葉山暁子は、確かに多くの人を超える学力を持っていた。
しかし、時枝秋は彼女が苦手としている問題を素早く見つけた。葉山暁子はこのタイプの問題に慣れていないようだった。
「葉山さん、この問題、どういう解き方をしたの?」と彼女は尋ねた。
葉山暁子は時枝秋が問題で詰まったと思い、問題を受け取って感心しながら言った。「この問題は難しいんです。ここで詰まるということは、あなたの基礎力がすごく高いってことですよ。私はこう解きました...」