やはり時枝秋が先にいたため、彼女の容姿は皆の注目と議論を集め、男子学生たちの視線も引き付けていた。この熱が冷めた後は、時枝秋の容姿を凌駕するような人物が現れない限り、彼らの興味を引くことは難しくなっていた。
そして噂話といえば、時枝秋についての噂の方が人々の探究心をそそった。
彼女は突然全国大会に参加することになり、まさに予告なしだった。
一方、文岩薫里の予選と準決勝への参加は、すでに安藤誠によってマーケティングされており、決勝戦への参加についても、ファンの期待値は最高潮に達していたものの、他の人々にとってはそれほどでもなかった。
そのため文岩薫里の到来は、ほんの小さな波紋を起こしただけだった。
彼女が予想していたような騒ぎも、歓声もホイッスルも一切なかった。
文岩薫里は少し気まずそうな表情を浮かべ、すぐに思った:「やはり理系の秀才男子は、世界で最も情趣のない男たちの集まる場所ね」
彼女が座ったばかりのところに、先生がやってきた。
先生は群衆の中で白く輝く時枝秋を一目見て、少し驚いたものの、特に何も言わずに研修を始めた。
1時間の研修はすぐに終わり、何人かは喜びの表情を浮かべた:トップレベルの研修課程も、たいしたことはない、普段学んでいることとそれほど変わらないと。
一方で、苦い表情を浮かべる者もいた:この課程は予想よりもずっと難しく、今回は太子に付き添って勉強することになりそうだと。
文岩薫里は喜びの方だった。文岩家が彼女のために雇った教師は全国トップレベルで、かつては数学の全国競技の問題作成にも携わっており、この競技の流れを完璧に把握していて、文岩薫里の準備は他の参加者の90パーセント以上を上回っていた。
「時枝秋、午前中の残りの数学は全部自習だけど、物理の研修クラスに行くの?」と葉山暁子が尋ねた。
2科目や3科目の競技に参加する優秀な学生が多いため、研修では各科目とも先生が終日授業を行うわけではなく、難しい問題の解説だけを行い、それ以外は全て自習時間だった。
時枝秋は頷いた:「うん」
文岩薫里は時枝秋の声を聞いて振り返り、やはり時枝秋が後ろの席に座っているのを見た。
彼女がどんなスキンケア製品を使っているのかわからないが、全身が透き通るように白く輝いており、群衆の中で特に目立っていた。