「まさか!」
時枝秋がこんなことできるはずがない!
彼女は芸能界のアイドル歌手に過ぎないし、歌だって自分で作っているとは限らないのに!
小林佳澄がそう考えた瞬間、時枝秋はエンターキーを押して言った。「できました」
水野学長は傍らで見ながら、感心して思った。さすが堀口景介の妹だ、この頭脳は本当に素晴らしい!
ただ残念なことに、どうしても定戸市大学に来てくれない。専攻は自由に選ばせても来ないんだ。
水野学長は以前、物理学科のために黙祷し、その後数学科のために黙祷し、さらに映像演出科、声楽科のために黙祷し、今度は情報工学科のためにまた黙祷することになった。
季山梨香が言った。「早く再生してみましょう。何か手がかりが見つかるかもしれません」
彼女は小林佳澄と時枝雪穂の親密な関係を知らないので、当然時枝秋ほど彼女たちの動機を理解していなかった。
映像が再生され、すぐにお昼時になった場面が映し出された。
クラスの生徒全員が食堂に行き、小林佳澄の姿だけが残っていた。
小林佳澄はここを見て、荒い息を吐き始めた……時枝秋がこの映像を修復できるはずがない。
掃除を口実に監視カメラを壊したはずなのに。
しかし現実は現実で、画面の中で小林佳澄は自分のカバンから何かを取り出し、左右を確認してから急いで時枝秋の席に行き、何かを押し込んで、何事もなかったかのように自分の席に戻った。
その後、彼女は食事をせずに本当に掃除を始めた。この場面だけを見れば、彼女はとても勤勉に見えるが、先ほどの場面と合わせて考えると、緊張を紛らわすために掃除をしていたのではないかと疑われても仕方がない。
四つの目が一斉に小林佳澄に向けられた。
「私じゃありません。私が問題を持っているはずがないでしょう?きっと時枝秋が、教室の一日の様子を適当に編集して、今日の映像として見せているんです!もしかしたら以前、時枝秋の机に試験用紙を入れたことがあるかもしれません」
時枝秋は立ち上がり、カバンを持ち直して、少し声を上げ気味に言った。「そう、なんて偶然でしょう。いつ教室がこんなにも空っぽになることがありますか?」