彼は試験用紙を素早く目を通し、完璧な解答はもちろんのこと、その文字だけでも水野学長を完全に魅了してしまった!
「時枝秋がどの学部に進みたいか、彼女に選ばせよう!」水野学長は大きく手を振り、これで特別枠の申請すら必要なくなった!
菊地健夫は傍らに立ち、信じられない様子で「水野学長……」
水野学長は試験用紙を彼の手に押し付けた:「自分で見てみなさい。」
菊地健夫は試験用紙に目を通した。体育学部の教師とはいえ、やはり定戸市大学のような正規の大学で採用された教師だけあって、基本的な資質は持ち合わせていた。
一目見ただけで、この試験用紙の実力が分かり、顔色が変わり、足がふらついて立っているのがやっとだった。
水野さんは軽やかな足取りで部屋を出て行った。言い表せないほどの興奮を抱えながら。