第250章 カンニング事件

今の彼女の成績を、家族にどう説明すればいいのか?食事を奢ってと言ってきたクラスメートたちにどう向き合えばいいのか?

翌朝、時枝秋はもう学校を避けることはできなかった。

彼女が校門に着くと、季山梨香が彼女を守るように近づいてきた。「六田学長があなたを探しているわ。正直に言って、怒りで定戸市大学に行かないことにしたの?本当に行かないなら、私が守ってあげるわ」

「行かないことに決めました。私にはこの二つの大学は合わないと思います」と時枝秋は答えた。

季山梨香は頷いた。「分かったわ。それなら私が説明しておくわ。やるわね、時枝秋。私の目に狂いはなかったわ」

季山梨香は彼女の肩に手を回し、時枝秋は笑って「季山先生、よろしくお願いします」と言った。

時枝秋が教室に着くと、岡元博信と葉山暁子が彼女に向かって意味ありげに笑いかけ、二人は手を差し出して「早く、握手しよう。私たち大学の同級生になるんだから」と言った。

「どちらの大学?」と時枝秋は尋ねた。

二人は予想外の一撃を受けた。

葉山暁子が先に「私たちは定戸市大学よ。あなたはどっちを選んだの?」と言った。

二人とも彼女が両方の大学に合格したと確信していた。職員室で時枝秋の名前を聞いていたからだ。

「選びませんでした。受験しようと思います」

「まさか?まだ受験するの?」葉山暁子は頬杖をつきながら「本当に第二中学校の重点大学合格者を一人増やすつもり?」

時枝秋は微笑んで「私には憧れの大学と学部があるんです」と答えた。

清加大学と定戸市大学は見向きもされなかった。

葉山暁子は時枝秋と長く付き合っているうちに、彼女が主体性を持って行動し、軽々しく選択をしないことを知っていたので、この答えを聞いても少し驚いただけで、いつものように時枝秋の冷静さを羨ましく思った。彼女はいつも自分が何を望んでいるかを知っていて、それに向かって努力を惜しまない。

もちろん、彼女の圧倒的な能力も羨ましかった。まさに無敵の存在だった。

「じゃあ仕方ないわね、私たちだけが大学の同級生になるしかないわ」葉山暁子は岡元博信と握手を交わした。

「うるさい!あなたたち、うっとうしいわ!」小林佳澄は立ち上がり、彼らを睨みつけた。