時枝秋は怠そうに言った。「来週の月曜日に全校集会があったはずだけど?大げさにする必要はないでしょう」
時枝雪穂は「……」
彼女はそのことを忘れていた!
時枝雪穂は声を柔らかくして「秋、菊地先生は先生なんだから、あなたは……」
「なぜダメなの?お上は火を放って良くて、民は灯りもつけちゃいけないの?」
「あなた……」時枝雪穂は一時言葉を失った。
菊地健夫は「個人的に謝罪すれば良いんじゃないか?私が悪かった」と言った。
この謝罪は、爪の先ほどの誠意もない。
菊地健夫も確かに水野学長の顔を立てて謝罪に来ただけで、そうでなければ時枝秋のことなど全く気にも留めなかっただろう。
時枝秋は目の端でも彼を見ることなく、ただ制服に付いていない埃を払うような仕草をした。
「用がないなら、私は行きます」時枝秋は鞄を持って数歩歩き出し、振り返って「忘れないでね、来週の月曜日」
時枝雪穂の顔色が急変した。
菊地健夫も時枝秋がこれほど恩を知らないとは思わなかった。自分が直接謝罪に来たというのに、まだ許してくれない!
彼女に礼儀知らずと言ったことが、間違っていたのか?
ただし、この言葉をもうツイッターで言う勇気はなかった。
「菊地先生、ご覧の通り、私が協力したくないわけではなく、本当に秋が……」
菊地健夫は顔を曇らせて「分かった」
時枝雪穂は今回菊地健夫の怒りを買ったことで、彼の根に持つ性格から、きっと自分のことをずっと覚えているだろうと思った。
しかし幸い、菊地健夫は実権を持つ人物ではないので、時枝雪穂も彼を怒らせることを恐れてはいなかった。
菊地健夫の謝罪の件は、全ネットの注目を集めていたため、時枝秋が言及しなくても、みんなが来週月曜日の全校集会での出来事を注視していた。
ネット上では好事家が絶えず、この件について追及し続けていた。
カウントダウンを作る人まで現れた。
時枝秋はそれを見ても、ただ笑って流すだけだった。
もちろん、DMで彼女に寛容になるよう、菊地健夫のことをこれ以上追及しないようにと言ってくる人もいた。
時枝秋は全く返信しなかった。
なぜ寛容にならなければならないのか?
謝罪の件は、最初から菊地健夫がネットに投稿して、彼女に泥を塗ったのだ。