第273章 定戸市以外の学校に行くな

ネット上には至る所に真摯な声が溢れていた。

木村裕貴はこちらで忙殺されていた。

今までに、彼は十八件の電話、二十通のメール、四十三件のLINEでビジネスの相談を受けていた。時枝秋の二曲をドラマの挿入歌として使いたいという話や、番組のテーマソングとして著作権を購入したいという話、『最初の夢』を広告曲として使用したいという話もあった。

広告曲を希望する数社は「時枝秋が広告撮影に参加できるなら、それに越したことはない」とまで言っていた。

木村裕貴はそれぞれに「時枝秋はまもなく大学入試なので、楽曲の著作権については相談可能ですが、本人は今のところ広告出演は難しいです。ただし、将来的には詳しく相談させていただきたいと思います」と返答するしかなかった。

文岩薫里は惨敗を喫した。