第279章 その成績は偽物だ

「どうしたの?」

「中野監督、これを見てください」銭場理香は時枝秋の成績を中野義方の前に置いた。

中野義方は口をすぼめて、「これは本当なのか?」

理屈から言えば、木村裕貴が偽のスクリーンショットで人を騙すはずがない。

しかし、時枝秋がこんなに良い成績を取ったのなら、なぜ宣伝しないのか?

彼女の学校はなぜプレスリリースを出さないのか?

文岩薫里に完全に負かされているのに、なぜ声を上げないのか?

記者のインタビューで、なぜ自分の成績は普通だと言ったのか?

銭場理香は疑問が次々と湧いてきた。しかし、マネージャーがタレントの偽の成績データを使って商業主から利益を搾取することは、よく見かける光景だった。

商業主は搾取されて非常に怒っているが、時には仕方がないこともある。契約は自分たちで結んだのだから。

銭場理香には以前、ある友人がいて、いわゆるトップスターにボディソープの代理を依頼した。結果、ツイッターのファンが2000万人もいるタレントなのに、最終的にそのリンクでボディソープを1万本も売れなかった。

後になって、その「トップスター」の実際のアクティブファンは5万人もいないかもしれず、全て買われたものだったことが分かった。

時枝秋が本当にこの成績を持っているなら、自分たちだけに見せるのではなく、ツイッターで公開しているはずだ。

そう考えると、銭場理香の表情が曇った:「木村裕貴はマネージャーとしての節操まで捨てたということ?」

中野義方は彼女のその言葉を聞いて、心の中で納得した。

人と付き合う時は、やはり用心深くならなければならないようだ。

安藤誠は戻ってから、この件について文岩薫里に伝えた。

「つまり、私はストロベリーミュージックフェスティバルに出演せずに、オリンピック競技のゲストとして出演する?そして宿題ヘルパーAPPの代理人になるということ?」

「そうです。私たちは時枝秋にも同じ活動への参加を依頼しましたが、時枝秋側は断り、オリンピック競技の会場には来ないそうです。」

このアレンジメントに、文岩薫里は特に満足していた。

ストロベリーミュージックフェスティバルのあの最悪な時間帯なんて、行かなくても構わない。