時枝秋は顔を上げて見ると、あの見慣れた嫌な姿が目に入った。まさに付きまとわれているようだった。
「秋」時枝雪穂が走ってきて言った。「今日、学校であなたのお祝いパーティーがあると聞いたわ。私も一緒にお祝いしたいと思って」
「お祝いの会場は中よ。行ってらっしゃい」時枝秋は皮肉な笑みを浮かべながら彼女を見た。
明らかに、時枝雪穂が自ら恥をかきに行くはずがなかった。
時枝雪穂は笑って言った。「お祝いに来たんだから、もちろんあなたのためよ。私たちの誕生日がもうすぐでしょう?一緒にお祝いしない?」
時枝秋は目を上げた。澄んだ瞳の黒白がはっきりとして、時枝雪穂の心の内を見透かすようだった。
なぜ彼女が一緒に誕生日を祝おうと誘ってきたのか、その意図が何なのか、時枝秋にはお見通しだった。