「佳澄、萩原お坊ちゃまも知らないの?彼は萩原家の人よ。萩原家は四大家族を超越した存在として知られているのよ」浜家秀実は自分の目が節穴だったことを悔やみ、今になって萩原衡だと気づいた。
萩原衡はもうずっと前からここにいたのだろうか?
小林佳澄は即座に顔色を変えた。つまり、先ほど自分が失礼な態度を取ってしまった相手は萩原衡と、その友人だったということか?
では、あのステージに上がった男性は誰なのだろう?
「伯母様、あのステージに上がった男性は一体誰なのですか?」小林佳澄は尋ねた。それはつまり、その男性も並々ならぬ身分の持ち主だということを意味しているのではないか。
「その男性が誰であれ、今は萩原お坊ちゃまのことを先に話しましょう」浜家秀実は数歩前に出て、萩原衡の側まで歩み寄った。「本日は萩原お坊ちゃまにお目にかかれて、大変光栄です」