彼女は彼を見つめ、優しい笑みを浮かべていた。
藤原修は大きな足取りで彼女に向かって歩み寄り、敬虔な態度で彼女の前に立ち、静かに言った。「お誕生日おめでとう、時枝秋」
「ありがとう」
「これからの毎日が、今日のように幸せでありますように」藤原修の声は、上質な酒のように深く豊かだった。
萩原衡たちは「おお」と感嘆の声を上げた。いつも寡黙で厳格な大将が、こんな言葉を言うようになったなんて?
愛の言葉ではないけれど、まるで愛の告白のようだった。
やはり恋の力は偉大だ。
時枝秋は彼の傍に寄り、目尻を軽く上げ、優しい声で言った。「あなたがいれば、きっと大丈夫」
萩原衡と荒木俊は顔を見合わせ、青木空は両手で頬を包み、本間拓海はポケットに手を入れたまま、クールな藤原修がなぜ時枝秋に落ちたのか不思議に思わなかった。