第325章 部外者は立入禁止

「Brian、時枝さんは協会の正式会員なので、Sカードです。あなたは臨時来賓なので、臨時カードを使用します」

「何か違いはあるんですか?」堀口正章は尋ねた。

「各カードで入室できるエリアと期限が異なります。臨時カードは現在あなたが携わっているダンス衣装デザインの練習室にしか入れません。期限も短く、今回の文化遺産申請が終わると、あなたのカードの有効期限も切れます」と秘書は説明した。

「時枝秋のSカードは?」

「永久有効で、協会のあらゆる場所に入れます」

今回の『商朝舞踊』も時枝秋の指導の下で編み出されたもので、彼女がどこにでも行けるのは当然のことだった。

堀口正章自身は舞踊協会にさほど興味がなく、文化遺産申請後にここに入れなくなると聞いても、特に残念には思わなかった。

彼は言った:「とっくにそうすべきだったんですよ」

秘書は丁寧に答えた:「実は以前からこのような管理措置はありましたが、厳格な執行はされていませんでした。今回の文化遺産申請を機に、すべてを正常な軌道に乗せるのは、確かに良いことですね」

時枝秋と堀口正章はカードを使って進み、すぐに田中会長のオフィスに到着した。

田中会長は二人を見るとすぐに立ち上がった:「時枝さん、Brian、どうぞお座りください」

時枝秋と堀口正章は入室後、田中会長と再度振付けと衣装デザインについて話し合った。

堀口正章は自分が既に完成させたサンプル衣装を持参していた。

彼がそれを取り出すと、田中会長は受け取った。

そのデザインは古風でありながら優雅さを失わず、歴史的な文物を基礎としながらも革新と改良が施されていた。

「素晴らしい、素晴らしい」と田中会長は頷きながら言った。「もしこの衣装を使えば、このダンスはより一層完璧なものになるでしょう。Brian、あなたのデザインには本当に歴史の風格が漂っています」

「田中会長、こちらの資料の準備はいかがですか?」と時枝秋は尋ねた。

「いくつか準備しましたが、一部の資料は本当に見つけるのが難しいんです。全体的に見て、韓国と比べてどうなのかわかりません」

これこそが田中会長の最も心配している点だった。