「Brian、時枝さんは協会の正式会員なので、Sカードです。あなたは臨時来賓なので、臨時カードを使用します」
「何か違いはあるんですか?」堀口正章は尋ねた。
「各カードで入室できるエリアと期限が異なります。臨時カードは現在あなたが携わっているダンス衣装デザインの練習室にしか入れません。期限も短く、今回の文化遺産申請が終わると、あなたのカードの有効期限も切れます」と秘書は説明した。
「時枝秋のSカードは?」
「永久有効で、協会のあらゆる場所に入れます」
今回の『商朝舞踊』も時枝秋の指導の下で編み出されたもので、彼女がどこにでも行けるのは当然のことだった。
堀口正章自身は舞踊協会にさほど興味がなく、文化遺産申請後にここに入れなくなると聞いても、特に残念には思わなかった。
彼は言った:「とっくにそうすべきだったんですよ」