第331章 切り捨てが最善

しかし、園田一帆に電話をかければ、藤原修にも知られてしまうだろう。

本間拓海に会えたのは、偶然だった。

フロントは本間拓海の指示を受けて、時枝秋に何も聞かずに上階へ通した。

時枝秋が藤原修のいる最上階に着くと、園田一帆が会議室から資料を取りに出てきて、時枝秋を見て喜んで「時枝さ...」

「シーッ。修は会議中?」

「はい、すぐに藤原様にお伝えします。」

「いいえ、オフィスで待っているわ。」

園田一帆は躊躇したが、時枝秋の言葉には逆らえなかった。

時枝秋は藤原修のオフィスのドアを開けて中に入った。

園田一帆は資料を持って去った。

彼女は広々としたオフィスを見渡した。前回来た時は気付かなかったが、今回よく見ると、このオフィスは極めてミニマルなデザインで、黒、白、グレーの3色で統一された装飾が非常に禁欲的な印象を与えていた。