第342章 本当に心を込めていた

時枝秋については、時枝秋が間違っているはずがない。人を騙すのは全て藤原修の責任だ!

「自分に問いかけてみろ」藤原修は相変わらず淡々とした口調で言った。

藤原千華は一瞬固まった。

そして多くのことが分かってきた。

あの時手のひらを怪我したのは、彼女が最も感情的になっていた時で、医者は何度も静養が必要だと言っていた。しかし彼女は時枝秋を見るたびに、頭痛や胃痛、腹痛に悩まされ、全く落ち着くことができなかった。

だから自分の手の怪我を治してくれたのは、時枝秋だったんだ!

時枝秋は自分が彼女を見て感情的になるのを避けるため、わざと変装して助けてくれたんだ!

このことに気付いて、藤原千華は自分が本当に酷かったと感じた。時枝秋が自分を治してくれたのに、自分は彼女の恋人を奪おうとして、藤原修を他人に取られようとしていた。