第342章 本当に心を込めていた

時枝秋については、時枝秋が間違っているはずがない。人を騙すのは全て藤原修の責任だ!

「自分に問いかけてみろ」藤原修は相変わらず淡々とした口調で言った。

藤原千華は一瞬固まった。

そして多くのことが分かってきた。

あの時手のひらを怪我したのは、彼女が最も感情的になっていた時で、医者は何度も静養が必要だと言っていた。しかし彼女は時枝秋を見るたびに、頭痛や胃痛、腹痛に悩まされ、全く落ち着くことができなかった。

だから自分の手の怪我を治してくれたのは、時枝秋だったんだ!

時枝秋は自分が彼女を見て感情的になるのを避けるため、わざと変装して助けてくれたんだ!

このことに気付いて、藤原千華は自分が本当に酷かったと感じた。時枝秋が自分を治してくれたのに、自分は彼女の恋人を奪おうとして、藤原修を他人に取られようとしていた。

今また一人になって、藤原修の何かの「三角関係」を片付けようとしていたなんて!

彼女は恥ずかしさのあまり、足の指で地面を掘り始め、そのうち三LDKが掘れそうだった……

……

時枝秋は翌日特に予定がなかった。

自然に目が覚めるまで寝られる感覚は、とても良かった。

彼女は朝食を食べながら、WeChatを開いた。

藤原千華から音声メッセージが届いていた:「時枝秋、時間ある?修と一緒に家に帰って夕食でもどう?おばあちゃんにも会えるし」

藤原千華は先日のことは何もなかったかのように振る舞っていた。

自分が気まずく思わなければ、気まずさは追いついてこない。

時枝秋は少し考えて返信した:「時間は作れるけど、修の予定次第かな」

「じゃあ姉さんから聞いてみて」

藤原千華は時枝秋に聞いてもらった方が都合が良いと判断した。

時枝秋は断らずに、直接藤原修に帰るかどうか尋ねた。

肯定的な返事を得た後、時枝秋はスクリーンショットを藤原千華に送り、自分は服を探しに立ち上がった。

彼女は自分と藤原おばあさんの関係も、藤原千華との関係に劣らないほど悪かったことを覚えていた。

今は藤原千華とすぐに仲直りできたのは、前回彼女の手の治療をしたおかげだったが、藤原おばあさんとの関係は、まだ気軽に行き来できるような段階ではなかった。

前世でしてしまったことを取り戻そうと思うと、本当に気が重かった。