特に沢口満は、彼のデザインは実際に小林凌の以前のものとほとんど同じで、小林凌が着ると格好いいが、ただ格好いいだけで、特徴や光るものは以前と変わらなかった。
デザイナーとして、彼のデザインは小林凌本来の長所を全く活かせていなかった。
紺野広幸がいなければ、誰もこの点に気付かず、小林凌が格好いいということだけで終わっていただろう。
紺野広幸との対比があって初めて、優秀から天才までの差が普通の良さと比べられ、平凡さが際立ってしまった。
小林凌チームの丹精込めた仕事も、紺野広幸三人の登場によって、完全に霞んでしまった。
今、小林凌は授賞式を待つだけだった。
受賞してこそ、この一戦を引き分けに持ち込めるのだ!
時枝秋も真剣に授賞式に耳を傾けていた。
現在の授賞式は、通常小さな賞から大きな賞へと進行する。今回時枝秋は授賞式に参加していないため、傍観者として参加することで、かえってその中の傾向が見て取れた。