結局、業界の人間は顔を合わせることが多いので、誰も最後まで言い切ったり、やり切ったりはしないものだ。
しかし、堀口正章は口を開いた。「謝る必要なんてないよ。どうせその時点で、もう君との協力は考えていなかったからね」
場が静まり返った。
小林凌は居心地が悪くなった。
今日謝罪に来たのは、確かに少し軽率だった。明らかに紺野広幸の話題を自分に引き寄せようとする意図があった。
実際、彼はそんな手段を軽蔑していたが、ただ時枝秋の反応が知りたかっただけだ。
また、堀口正章が公の場で失礼な言葉を発することはないだろうと確信していた。
しかし、彼は堀口正章の性格を見誤っていた。
堀口正章は続けて言った。「そういえば、その時僕は協力したくないと言って、服を返してほしいと伝えたよね。確かに返してはくれたけど、なぜか適当な一着だけで、僕のデザインは手元に置いたままだった?それだけならまだしも、その後ツイッターで僕との協力関係を切ると言い出すし、本当に理解に苦しむよ」