「私です。園田保夫と申します」園田保夫は手を差し出し、とても丁寧に彼女と握手を交わした。
目の前の娘は、彼が想像していた芸能人とは大きく異なっていた。
彼は芸能界のことにはあまり関心がなく、どの芸能人が人気があるのかもまったく知らなかった。
しかし、様々な場所で数多くの芸能人を見てきており、男性芸能人でさえメイクやスタイリングをしているのを知っていた。
目の前の時枝秋は、素顔で、肌は透き通るように美しく、とても清楚だった。
「こんにちは。今晩はゆっくりお話しする時間がないかもしれません…」
「失礼いたしました」園田保夫は時枝秋が今日は忙しく、昼も夜も予定があり、また日を改めて会うと言っていたことを知っていた。
彼はただ早く時枝秋に会いたくて、そのために真っ先にここに来て、建物の下で5時間も待っていたのだった。