昨日の瀬尾先生のように、口では立派なことを言いながら、実際には人を死に追いやるだけだ。
これこそが彼が古代漢方医学を嫌う理由だった。
こういう連中は科学的な説明など何一つ示せず、薬も適当に処方し、精密さなど全くない。現代医学の安全性や合理性には到底及ばない。
「唐沢夫人、決めてください。今すぐ唐沢家の当主を静かな場所へお連れするか、それとも万田先生の治療を続けるか」時枝秋は万田先生とこれ以上言葉を費やしたくなかった。
彼女の立っている位置からは、唐沢家の当主の様子がよく見えた。
その顔色を見ただけで、時枝秋は病状についてある程度把握できていた。
唐沢夫人は万田先生を見て、また藤原千華を見て、最後に決心を固めて言った。「行きましょう!」
万田先生は怒り心頭だった。