第367章 筆を取って処方箋を書いた

「楽になった。呼吸が楽になった」唐沢家の当主の声に力が戻ってきた。

万田先生は納得がいかない様子だった。瀬尾先生の薬も同じような効果があったではないか?

しかし、どれだけ持続したのか?すぐにばれてしまったではないか?

結局、重要な時は自分を頼りにするしかないのだ。

彼は黙って夫婦の後に続き、車に乗って病院に戻った。

院長は慎重を期して、自ら見舞いに来た後、帰り際に万田先生を呼び止めた。「この二日間は大変だが、病院に泊まって様子を見ていてください。絶対に唐沢さんに何か起こってはいけません」

「分かりました」万田先生は仕方なく承諾した。

どうせ唐沢夫人が無茶をするたびに、後始末をするのは自分なのだから。

万田先生は唐沢家の当主の容態が安定している今のうちに、診察室に戻って休息を取ることにした。これから起こりうる緊急事態に備えるためだ。