第383章 時枝秋が来るって言ってなかった?

黄瀬桂子の到着で、小さな波紋が広がった。

彼女は今日、マネージャーに付き添われて、多くの記者を連れてきた。

このプロジェクトには長い間関わっており、キャスティングディレクターの方では、ほぼ彼女との契約が決まっていた。ただ、正式な契約はまだ交わされていなかった。

最近話題に欠けていた彼女は、当然のように記者たちを連れてきて、契約から始まる一連のプレスリリースの準備も整えていた。

彼女がインタビューを受けている最中、時枝秋と葉山彩未が車から降りてくるのが見えた。

記者たちは、この場で時枝秋に会えるとは思っていなかったため、すぐに彼女の周りに集まってきた。「時枝さん、オーディションを受けに来たんですか?」

「いいえ、葉山先生に付き添ってきただけです」

「葉山先生はどの役を受けられるんですか?」記者たちが次々と質問を投げかけた。