本当に石杜健の側にいたあの助手だった。
小林達朗がまだ近づく前に、アンドリューは既に車に乗って去っていった。
木村裕貴は物を持ち帰り、時枝秋に渡した。
時枝秋はそれを受け取って「ありがとう」と言った。
「あのアンドリューという人は...」小林達朗は唇を動かして、「知り合いですか?」
「いいえ」時枝秋は正直に答えた。「友人の代わりに物を届けに来ただけです」
小林達朗は以前一度国際漢方病院に行ったことがあったが、アンドリューにさえ会えなかった。まして石杜健なんて言うまでもない。
アンドリューが物を届けに来る?
「では石杜健は?」
「私の友人です」と時枝秋は言った。
小林達朗は口をパクパクさせた。
横澤晃は張本豊年の向かいに座って資料を見ていた。
彼の携帯にWeChatのメッセージが入った。
張本豊年は言った。「何をしているんだ?資料は読み終わったのか?」
「張本院長、さっき誰かがアンドリューを見かけたそうです」
「石杜健の助手の一人?」張本豊年の目が輝いた。「学校に何か用があったのか?特別に人材を選びに来たのか?小林学長の方で応対したのか?」
「分かりません。ただ偶然見かけただけです。これがアンドリューかどうか見てください」横澤晃は写真を見せた。
張本豊年は身元を確認すると、とても興奮した。「そうだ。すぐに小林学長のところへ行こう。まだ会えるかもしれない。今のところ、石杜健の側近の助手に近づくことができれば、石杜健本人に会えるチャンスがあるんだ」
横澤晃も非常に興奮して、彼の後を追った。
大野平はこういうことは得意ではなく、ただ彼らが行くのを見送るしかなかった。
張本豊年は小林達朗のところに着くと、そっとオフィスのドアをノックし、小林達朗がお茶を飲んでいるのを見つけた。
「小林学長」張本豊年はオフィスに他の人がいないのを見て、がっかりした様子だった。
「何か用かな?」小林達朗は尋ねた。
張本豊年は石杜健に会いたいという件を露骨に表すわけにもいかず、「いいえ、最近石杜健が学校に人を派遣するかもしれないと聞いたので、状況を確認しに来ただけです」と言った。
「来ましたよ、もう帰りましたけど」小林達朗はようやくお茶を飲んで驚きを落ち着かせた。
先ほどの時枝秋の様子を思い出し、小林学長は何か考え込んでいるようだった。