「試してみるだけでいいのよ。今回は不公平でも、次回は学校側も必ずこの公平さを保つよう努力してくれると信じています」と山田潔美は言った。
斎藤先生はすぐに張本豊年に状況を報告しに行った。
張本豊年はそれを聞いて言った。「これもまた時枝秋が引き起こした問題なのでしょうね?」
彼は意図的に時枝秋を過度に甘やかしている大野平を一瞥した。
「副院長、あなたはどう思いますか?」と彼は尋ねた。
大野平はしばらく考えてから言った。「斎藤先生は彼らに自由にチームを組ませて実験試験に参加させたいのですか?」
「くじ引きでグループ分けする方式は、少し古くなっていて、現在の発展に適していないと思います。以前の子どもたちは皆真面目に勉強し、自分の役割を全うしようと努力していたので、くじ引きは誰の利益にも影響しませんでした。しかし今は、人それぞれ志が異なり、各自の選択を強制することはできません。ただ、本当に実力のある学生の発展に影響を与えないようにしたいのです」と斎藤先生は言った。
大野平はうなずいた。「そう言われると、確かに理にかなっていますね」
張本豊年は言った。「それならば、今回は一年生の二つのクラスでこの方式を試行してみましょう。斎藤先生、試行過程で問題がないか、注意すべき点は何か記録してください。効果が良ければ、今後もこの方法で進めましょう」
斎藤先生はすぐに同意し、他の教師たちも考えた末、この提案に賛同した。
大野平は特に意見はなかったが、時枝秋のことを少し残念に思った。
まだ一年生に過ぎないので、これからチャンスはたくさんあるし、この一回のことで焦る必要はない。
クラスの学生たちは皆待っていた。
みんな入り口の方を見て、斎藤先生の戻りを待っていた。
山田潔美の隣の女子学生が言った。「斎藤先生がどうなったか分からないわね。もし本当にくじ引きで決めることになったら、大変だわ」
「私たちはまだいいけど、問題は潔美よ。彼女は一発で実験クラスに入るチャンスが一番あるのに。足を引っ張る人と組んだら、このチャンスが台無しになってしまうわ」
山田潔美は時枝秋をちらりと見て、手のペンを回した。
「本当に自由にチーム組めるようになればいいのに。潔美、私たちで組めば、絶対高得点取れるわ」