むしろ失望もしていなかった。時枝秋なんて、張本豊年はもともと好きではなかったのだ。
陸田円香に関しては、彼は聞いたこともなく、まったく気にしていなかった。
「おめでとう、副院長」張本豊年は名簿を大野平に渡した。
……
昼、陸田円香は熱心に三人でのお祝いに何か美味しいものを食べに行こうと提案した。
「時枝秋、佐和子、何が食べたい?」陸田円香が尋ねた。
「私は何でもいいわ」中野佐和子の声はとても小さかった。
「じゃあ、羊の丸焼きにしよう!」陸田円香が言った。「久しぶりに思いっきり肉を食べてないし。みんな定戸市の羊肉は特別美味しいって言ってるわ」
「多すぎるよ、私たち三人じゃ半分も食べられないよ」時枝秋は同意しなかった。
「じゃあ火鍋にしよう。ちょうど涼しくなってきたし、食べるのにぴったり。あるいは鍋にしよう、牛肉の鍋は栄養があるし、羊肉の鍋は滋養になるわ」
中野佐和子の指は緊張して絡み合っていた。
時枝秋は前方の麺屋を見て言った。「私、久しぶりに麺が食べたいな。二人とも付き合ってくれない?」
「それはちょっと……」陸田円香は少し眉をひそめたが、時枝秋が期待に満ちた表情を見せるのを見て、結局同意した。「いいわ、麺にしましょう。佐和子はどう思う?」
中野佐和子の指は知らず知らずのうちに緩んでいた。「いいわ」と彼女は言った。
三人は店に入り、時枝秋は牛肉麺を、陸田円香はスペアリブ麺を注文した。中野佐和子はしばらく見てから、ようやく卵麺を一杯注文した。
時枝秋は彼女を横目で見たが、彼女が気づかないうちに視線を戻した。
食事は簡素だったが、みんなの良い気分を妨げることはなかった。
陸田円香は相変わらず話し上手で笑い上手だった。
中野佐和子の表情も珍しく緩んでいた。
食事の後、陸田円香は率先して支払おうとした。
時枝秋は言った。「割り勘にしよう。割り勘なら友情も長続きするよ」
陸田円香はそれもそうだと思い、すぐに自分の分だけ支払った。
中野佐和子も気軽に自分のお金を払った。