山田潔美はこのクラスに入れなかったので、彼女が自分に対して良い態度を取るはずがない。
陸田円香は舌を出して言った。「なるほど、彼女が少し見覚えがあると思ったんだ、どこかで見たことがあるような気がして。」
佐山詩絵はまた一握りのキャンディーを取り出して言った。「あなたたちに会えて、本当に嬉しいわ。少なくとも、半年間はクラスで山田潔美を見なくて済むわ。」
「それで、あなたと山田潔美の間には何か...確執があるの?」陸田円香は神秘的に尋ねた。
「うーん、そうとも言えないかな。私が五十嵐真良と一緒に実験をしただけで、彼女は私に対して鼻であしらったり、目を合わせなかったりして、さらに学校の掲示板で私を当てこすったりしたわ。彼女は、誰もが彼女のように五十嵐真良を宝物扱いすると思っているのかしら?」
陸田円香は驚いた。以前、学校の掲示板にあった第三者を非難する投稿の当事者が、自分のすぐそばにいたなんて。
なんて面白いんだろう!
「時枝秋、あの投稿のことを知らないでしょう?見せてあげるわ。」陸田円香はそう言って、学校の掲示板を開いた。「あの投稿は山田潔美が書いたものだったのね。あれ、この投稿は何なの?」
陸田円香の手が止まり、素早くある投稿をクリックした。
タイトルは『学校は役者が手段を弄ぶ場所ではない、ここはエンターテイメント業界か、公然と人のリソースを奪うのか?』
内容はシンプルで、この匿名投稿は今回の選抜試験を標的にしていた。
選抜試験では、成績が突出していないクラスからは誰も選ばれず、成績が優れているクラスからは1〜2人が選ばれ、今回は合計で約10人が選抜された。
その10人の中で、時枝秋だけがタレントという身分だった。
だからこの投稿は名指しこそしていないものの、実質的には時枝秋を指して非難していたのだ。
もちろん、今回の選抜に関わった教師たちも見逃されず、言葉の端々には教師が意図的に時枝秋と結託して、学校の風紀を乱しているという非難が込められていた。