「ここに住んでいるのは基本的に留守老人です。年を取って引っ越したくないのですが、地理的な理由で医療状況が非常に心配なので、私たちの附属病院は定期的に医師を派遣して無料診療を行い、基本的な薬を配布しています」
田中先生は歩きながら説明した。「ほら、この村は地形が特に厳しく、車も入れません。ここが今日私たちが行く場所です」
みんな黙ってリュックのストラップを引き直し、田中先生についていった。
時枝秋もゆっくりと追いついた。山道は歩きにくく、みんなお互いに手を引っ張り合って登っていた。
田中先生は年齢は高かったが、歩き方にはまったくためらいがなく、大きなリュックを背負って大股で先頭を歩いていた。
時枝秋も遅れをとらず、常に真ん中の位置を歩いていた。
しばらくして、彼女は足を止めた。視線が茂みの中の数枚の珍しい草の葉に引き寄せられた。
「田中先生、陸田先輩、あちらの植物を見てきます」時枝秋は彼らに声をかけ、その方向へ歩いていった。
「一緒に行くよ」陸田景久はすぐに彼女について行った。
龍崎元輝は思わず眉をひそめ、この二人は余計なことをすると内心思った。「何してるんだよ?もうすぐ真っ暗になるのが見えないの?」
やはり都会育ちだけあって、こんな暗い山林に対して漠然とした恐怖を抱いていた。
「時枝秋は薬草を見つけたんだろう、少し採取させてあげよう」田中先生は以前の時枝秋との会話から、この女の子が漢方医学を非常に好み、薬草についても研究と見識があることを知っていた。
「僕たちのバッグには何の応急薬がないっていうの?」龍崎元輝はバッグを叩いた。彼にはどうしても理解できなかった、なぜそんな薬草を採るのか。
西洋医学の薬はとても良くて、整然としていて便利だ。彼のように、一般的な応急薬を揃えても、ほんの小さなスペースしか占めない。陸田景久と時枝秋のように、ポケットいっぱいの薬草を持ち歩くだけでなく、新しいものを見つけるとまた大量に採取するなんて。
高木孝明は彼を引き止めた。「余計なことは言わないで」
龍崎元輝は眉をひそめたまま、それ以上何も言わなかったが、心の中では不安だった。この二人が山で何か問題を起こして、自分まで巻き込まれないことを願うばかりだった。