浜家秀実はまだ自分の喜びに浸っていて、時枝雪穂の表情や変化に全く気づいていなかった。
時枝雪穂は部屋に戻ると、荒い息をつき、今のこの状況を心から憎んでいた。
彼女の指は知らず知らずのうちに、引き出しの中の薬が入っている場所に伸びていった……
夜になると、浜家秀実のお腹にわずかな痛みが走った。
これはこの期間の常態で、医師は彼女に静養するように言っていた。
一瞬の痛みが過ぎ去ると、体に大きな反応はなくなったので、浜家秀実はそれを気にせず、部屋に戻って休んだ。
朝、彼女が起きてトイレに行くと、突然、生理が来たような感覚がした。
便器を覗くと、血の跡が見えた……
浜家秀実はすぐに慌てて、急いで服を着替えて病院へ向かった。
病院に着くと、医師は彼女を診察した後、頭を振って言った。「時枝夫人、お子さんは助かりませんでした。」