第516章 でも、私は好き

先ほど彼が時枝秋が服を着ているのを見たときのように。

染宮琴音がそのような誤解をするのも無理はない。彼女はきっと堀口正章の服に対する賞賛、服に対して示す絶対的な熱意と感情を、堀口正章が彼女自身に対して抱く好意だと勘違いしたのだろう。

しかし実際は、そうではなかった。

染宮琴音もきっと事実の真相を受け入れられないだろう。

堀口正章にあのような熱い眼差しで見つめられながらも拒絶されれば、自尊心が傷つくのは避けられないことだ。

「それで、これからどうするの?」時枝秋は尋ねた。

堀口正章の視線が時枝秋の上で燃え上がり、再び輝いたが、何かを思い出したかのように、すぐに暗くなった。「やめておこう。新しいモデルを探すよ。」

「きっと適任の人が見つかるわ。」

……

時枝秋が家に帰ると、藤原修は裏庭で黙々と花や草を植えていた。