染宮静里奈は慌てなかった。
「一組の写真だけで私たちのものを奪おうなんて、そう簡単にはいかないわ。でも、堀口正章がリチャードを招いて彼の味方につけたのは、確かにすごいことね。」
しかし、たとえリチャード一人がいたとしても、どうだというのか?
たった一人では、この流れを変えることはできない。
小林凌はここに来て初めて、自分が何者でもないことに気づき、頭を下げて黙っていた。
染宮家の前では、小林家が誇りにしていた家柄も、大したことではなかった。
ショーの幕開けは、ゆっくりと始まったばかりだった。
五十嵐博己側は、極めて華やかに設営されていた。
オースティン、染宮琴音、フィオナなど、それぞれが長所を持ち、ショー会場はすぐに賑わいを見せた。
堀口正章側。
皆も素早く準備を始めた。