第525章 一筋の後悔が生まれた

染宮静里奈は慌てなかった。

「一組の写真だけで私たちのものを奪おうなんて、そう簡単にはいかないわ。でも、堀口正章がリチャードを招いて彼の味方につけたのは、確かにすごいことね。」

しかし、たとえリチャード一人がいたとしても、どうだというのか?

たった一人では、この流れを変えることはできない。

小林凌はここに来て初めて、自分が何者でもないことに気づき、頭を下げて黙っていた。

染宮家の前では、小林家が誇りにしていた家柄も、大したことではなかった。

ショーの幕開けは、ゆっくりと始まったばかりだった。

五十嵐博己側は、極めて華やかに設営されていた。

オースティン、染宮琴音、フィオナなど、それぞれが長所を持ち、ショー会場はすぐに賑わいを見せた。

堀口正章側。

皆も素早く準備を始めた。