優れた医薬品事業を持つ会社、例えば染宮家のような家は、四大家族の中で確固たる地位を築くのは自然なことだった。
結局のところ、人は必ず生老病死を経験し、多くの人々が強力な医療資源を持つ家族に頼っているのだ。
この機会に、時枝秋はいくつかの大病院を訪れ、この分野の状況を理解しようとした。
前世の記憶と見てきたニュースを頼りに、彼女はおおよその場所を特定することはできたが、具体的にどの病院かを確定することはできなかった。
考えた末、彼女は仕方なく堀口景介に電話をかけた。
「海外での調子はどう?」
「とても良いわ。外をぶらぶら歩いているところ」
「正章は一緒じゃないの?」
「次兄はデザインで忙しいの。そういえば、お兄さん、アフリカでは毎年細菌感染が蔓延しているけど、そちらでは何か研究をしているの?」
医学の話題になると、堀口景介の気持ちは高まった:「もちろんやっているよ。アフリカはまだ現代社会に入っていないから、様々な細菌が多く複雑だ。毎年我々はスタッフを派遣している」
「最近、アフリカの裕福な患者たちがフランスに治療に行っていると聞いたけど...」
「つまり、彼らが細菌を持ち込む可能性があるということか?それは一つの方向性だね。病院の友人に聞いてみよう」
時枝秋は彼がいつも素早く本題に入ることができるのを見て、これ以上は言わなかった。
堀口景介の医学研究への情熱は、外部の人が想像するよりもはるかに強く、彼がこの考えを持っているなら、確実にすぐに調査研究を始めるだろう。
ヒントを与えた後、時枝秋は他のことを少し話してから、電話を切った。
彼女が堀口正章の工房に戻ると、秘書が次に会うクライアントのリストを作成していた。
「これらのアパレル企業は、我々の主要な協力ターゲットです」と秘書は言った。「彼らは欧米での流通チャネルが広いので、彼らとの協力関係を構築できれば、正式にこの市場に参入できる可能性があります」
「以前の次兄の市場は?」
「以前は、彼の市場はオートクチュールだけで、正式に会社を設立していませんでした。アパレルブランドというよりも、彼個人のデザイナーとしての名声でした。今は規模が拡大したので、当然違います」