「今祝うのは少し早すぎるね、チャンピオンを獲得してからにすべきだよ」と時枝秋は返答した。
染宮静里奈は笑い出した。時枝秋が本当に純粋なのか、それとも本当に馬鹿なのか、わからなかった。
今の状況でまだチャンピオンを獲得する妄想をしているなんて?
染宮静里奈は言った:「いいわよ、チャンピオンを獲得した時、私も参加するわ。でも、もし五十嵐博己がチャンピオンを獲得したら、時枝秋も遠慮しないで、堀口正章と一緒に私たちのお祝いに来てね。あ、忘れてた、あなたは来づらいかもね。外の人に知られたら、また小林凌を追いかけに来たと思われるから」
彼女の言葉には、小林凌を誇りに思う高慢な意味合いが含まれていた。
そうだ、小林凌と一緒にいることで時枝秋を打ち負かせるのでなければ、彼女がどうして小林凌と恋愛して公表するだろうか?
彼女は多くの無知なファンと同様に、時枝秋に対して常に誤った認識を持っていた。本当に時枝秋が小林凌を宝物のように思い、ずっと追いかけ続けると思っていた。
時枝秋は唇の端を上げ、笑みを浮かべた:「染宮さん、あなたたちは皆、小林凌に価値があると思っているかもしれません。でも残念ながら、彼は不運な人で、彼と長く一緒にいると、不運に巻き込まれるかもしれません。私は近づく勇気がありません。染宮さんも気をつけた方がいいですよ」
時枝秋はこの言葉を真剣に言ったので、染宮静里奈も心に留めざるを得なかった。
彼女が去る時、もう一度よく考えてみた。小林凌は今人気が下がっているとはいえ、まだトップスターの看板を持っている。どうして人を不運にするだろうか?
そう考えると、染宮静里奈は時枝秋がブドウを食べられないからブドウは酸っぱいと言っているだけだと思った。
……
すべてのデザイナーの衣装が既にステージで披露された。
順位もまもなく発表される。
授賞式はその夜すぐに行われる。
すべてのデザイナーがステージの前に立った。
時枝秋は今カジュアルな服装に着替え、ステージ下から見ていた。
藤原修が言った計画は、実際にはかなり危険だった。
しかし彼女は不思議と彼を信じていた、必ず成功すると。
ただ、最終結果が出る前は、藤原修を信頼していても、時枝秋は心配せずにはいられなかった。