第20章:ふさわしくない

この口調から、寺田徹は西尾聡雄の身分を知っていたようだ……

確かに調べるのは難しくなかった。西尾聡雄という名前は最近、経済紙やテレビでよく目にする。

青木岑は我慢強く説明した。「徹、今日彼と話し合ったの。もう二度と会わないわ。あなたとだけ一緒にいたいの。もう怒らないで、ね?」

「そんな嘘を信じると思うのか?お前と結婚するとでも?俺が狂ってるとでも?結婚した後で浮気されるのを待てというのか?」寺田徹は不機嫌そうにスーツケースを持って出て行こうとした。

「徹、落ち着いた?本気で言ってるの?」青木岑は手を伸ばして彼を止めながら再び尋ねた。

「どけ、話したくもない。辞めることだな。同じ病院にいるのは良くない。俺は醫師だから辞めるわけにはいかないが、お前みたいな看護師に未来はない。元カレのところに戻って、神様のような生活でも続けろ」